企業から求人票が出た日

今回は、進路が決まらず不安で一杯だった時の心境を書きたいと思います。子どもの悩みは、自分の事以上にツライですね。そして、子どもの喜びは、何よりも嬉しいですよね。親は、子どもの問題で、ついつい感情的になってしまいがちですが、不安な思いを表に出し過ぎると、子どもは親に気を使ってしまいます。当人が一番頑張っているということを理解し、平静で穏やかに状況を受け止める余裕を持たなければ、親の応援は負担になってしまうんだと思います。そのことを実感し、反省した日でした。

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進路が決まらず不安で一杯だった時の心境

就労技術科に通う子どもたちが、卒業後に目指すのは企業就労です。学校では、個々の適性に応じた企業への就労と将来の自立を目標として、普通教科と実技を学びます。我が家でも、マルコにはどんな仕事が合っているのか、親子で探りながら過ごした3年間でした。

3年生最後の実習が終わって1ヵ月以上経ちますが、就労の可否について、まだ連絡がありません。ご縁がなかったのだろうと半ば諦めてはいましたが、卒業まであと3ヵ月に迫り、卒業後の進路をどうするか真剣に考えなくてはいけない時期でした。実習で、適性や能力についてクリアしていると見なされた場合に求人票が出て、雇用条件に問題がなければ、そのまま採用となります。同級生は次々に企業から求人票をもらい、最終面接へと進んでいました。

まだ18歳。もし高校卒業までに就職できなくても、慌てる必要はないと頭では思いつつ、90%以上の生徒が就労していく学校で、就労できない原因があるとすれば、今後も就職は難しいのではないかと悲観的な気持ちになることもありました。

まずは、実習先の状況について、保護者会で担任の先生に聞いてみて、ダメならそれから考えようと決めました。

保護者会でプチパニック

2020年12月初旬、保護者会に行って来ました。早めに着いた私は、先に来ていた保護者が担任の先生と立ち話している横を通り過ぎて教室に入りました。椅子に座って教室の貼り紙を眺め、久々の学校の雰囲気を楽しんでいました。後から次々に保護者が入ってきましたが、コロナの影響で、3年生になって初めてのクラス保護者会なので、知っている顔もありません。知り合いの保護者同士の「面接終わった?」「良かったね~」というひそひそ話を聞きながら、マルコも早く決まると良いなぁと思いました。

そんな中、立ち話を終えて教室に入ってきた担任の先生が、『マルコさん、実習中、家での様子はどうでしたか。』と話しかけてきました。こちらから進捗状況を聞いてみようと思っていたところでしたが、急に向こうから質問されて動揺しました。他のクラスメートはみんな就労先が決まっているのかと思うと、マルコだけうまくいっていないことが恥ずかしく思えて、咄嗟にうまく返事ができません。みんなに注目されている気がして自分でも顔が赤くなるのがわかりました。なんとか、『大変だったみたいですが、一生懸命頑張ったと言っていました。』と答えます。マスクで顔が隠れていて良かったです。

余談ですが、私は自分のことなら自然体でいられるのに、子どもの事となると周囲にどう思われるかを意識してしまうところがあります。20年位前に、ストレスで、突然息苦しくなったり、頭に血が上ったりするパニック症の症状が出た事があり、それ以来、心と顔の皮が薄くなってしまった感じがします。相手に気持ちを隠したい、不安を気取られないようにしたいと思うと、緊張して急に頭に血が上る感じがします。フルタイムの仕事を辞めてゆっくりと暮らしているうちに自然治癒したので、いまは通院や服薬はしていませんが、体調によって、たまに軽い症状が出ることがあります(この話はまたあらためて詳しく書きますね)。

「実習が無事に終わって良かったですね。」と笑顔の先生。マスクに助けられて、やっとの思いで微笑み返しました。保護者会が始まりました。主に、卒業から就労までの流れと、卒業後の支援についての話。就職先が決まっていないマルコの事を思うと、取り残された気持ちのままで話を聞きました。

求人票が出ました!

保護者会終了後、平常心で進路について相談する自信がなく、ともすれば涙がこぼれ出しそうな気がしたので、やっぱり今日は帰って、あらためて電話で相談しようと帰り支度をしていました。その時、担任の先生から『教室の外で進路担当の先生が待っています』と呼ばれました。行ってみると、封筒を渡され、『実習先から求人票が出たので、面接を受けるかご家族で話し合ってください』とのことでした。思わず泣きそうになりながら、お礼を言いました。『なかなか求人票が出なくてとても心配だったので、本当に嬉しいです。ありがとうございました。』と感謝の気持ちを伝えると、『実は、反省会の時、企業側からは求人票を出しますと言われていたのですが、実際に手続きが終わるまで、生徒に伝えることはできなかったので、申し訳ありませんでした。』とのこと。心底ホッとして身体がとろけそうになりました。帰り道、校門を出てすぐにマルコに電話しました。マルコの声も嬉しそうでした。マルコは『ありがとう。でも、まだ正式には決まってないから、ジージとバーバには言わないでね。』と言いました。家族のグループLINEで、父親と兄たちに報告しました。『まじ?マルコすごいじゃん。』『おめでとう!』『これって内定ってことだよね。』とすぐにみんなから返信がきました。『ありがとう。でもまだ決まったわけじゃない。面接まで気を抜かず頑張る。』とマルコのコメント。興奮している私と違って、冷静で大人なマルコでした。

親が感情的になってはいけない

マルコの冷静な声とコメントを見て、ハッと我に返りました。不安の後で喜びが爆発し、ついつい大はしゃぎしていましたが、マルコは、もし面接で不合格だった時に、ジージやバーバが悲しむかもしれないということまで気を使っていたのです。『面接まで気を抜かずに頑張る』という言葉で、あらためて、当人が一番頑張っているということに気づき、マルコの強さを感じました。平静で穏やかに状況を受け止める余裕を持たなければ、いけないということを実感し、反省した一日でした。

これから、履歴書を書いて求人票に応募します。面接を受け、内定がもらえるまで、しっかりマルコの頑張りを見守りたいと思います。

2020.12.5

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