出産時の異常

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妊娠35週目、自宅で大量出血して緊急入院

2002年11月、自宅で大量出血して緊急入院となり、妊娠35週の早産でマルコは生まれました。

その日は、秋晴れの気持ちよい祝日でした。朝から二男の七五三のお参りで、近所の神社に行きました。私たち夫婦と7歳の長男、5歳の二男、夫の両親の6人で拝殿に上がり、お祓いの後、祝詞をあげてもらいました。妊娠35週で大きなお腹を抱えた私は、産休に入ったばかりで、とても穏やかな気持ちで胸一杯の幸せを感じていました。宮司さまの声を聞きながら、神さまに感謝し、ご守護を受けて子どもたちが健康に育ちますようにとお祈りしました。

ご祈祷の後は、お祝いの会食でみんなでお寿司を食べに行きました。妊娠中で体重増加を指摘されていましたが、今日は赤ちゃんの分も食べようと、お腹がいっぱいになるまで食べました。

帰宅すると、元気な息子たちは、すぐによそいきの服を脱ぎ捨て、公園にキャッチボールに行こうと言い出しました。私は、布団を取り込んだ後で遅れて行くことにして、先に夫と子供たちを送り出しました。

子どもたちが嬉しそうにはしゃぐ声を聞きながら、ベランダでほかほかの布団を取り込んでいた時のことでした。下腹部に違和感を感じて洗面所に行くと、温かい水が腿を伝って流れるのを感じました。最初は尿が漏れたのかと驚きましたが、それはバケツをひっくり返した程の大量の血でした。痛みはなく、ただ血が流れていました。

あわてて夫の携帯に連絡し、急いで戻って来てもらいました。息子たちの受けるショックを考え、急いで濡れた服を着替えると、バスタオルで血を拭き取り、汚れた服とバスタオルをゴミ袋に入れて、何事もなかったかのようにキレイにしました。下腹部の出血は止まっているようでしたが、怖いので服の上からバスタオルを巻きつけ、車に乗り込みました。祝日だったので、当直の若い先生が診察してくれました。おそらく前期破水でしょうとのことでした。そのまま入院し、出産することになりました。

無痛分娩で硬膜外麻酔のカテーテルが入れ直しになる

3回目の出産ということもあり、ハプニングがあっても、夫も私も落ち着いていました。突然の出血も、後で笑い話になるのだろうと思っていました。

無痛分娩のための硬膜外麻酔のカテーテルを入れる処置も慣れたものでした。硬膜外麻酔法とは、細くて柔らかいチューブを背中から腰の脊髄の近くに入れて、そこから麻酔薬を少量ずつ注入することにより出産の痛みを和らげる方法です。腰から下の感覚がにぶくなりますが、意識はありますし、足を動かすこともできます。赤ちゃんが生まれるまでカテーテルから麻酔薬を注入し続けるので、途中で麻酔がきれてしまうことはありません。ただ、カテーテルを入れる際、大きなお腹を抱えて背中を丸める動作をするのが本当に大変です。背骨の間が広く開くようにすることで、背骨の間からカテーテルを入れやすくなり、処置が早く終わることはわかっているのですが、お腹が苦しいうえにグイグイ腰を押される痛みもあります。しかし今回はなんといっても3回目です。痛みも苦しさも大体わかっているので、辛いのを我慢して、一生懸命膝を抱えました。こうしてカテーテルは無事に入り、分娩の準備は整いました。

ところが、陣痛はなかなか始まりません。点滴で促進剤を入れて陣痛を促します。しばらくして、弱い陣痛が始まりましたが、痛みを感じるほどではありません。それでも、子宮の収縮が始まっているということで麻酔を注入することになりました。すると、今度はなかなか麻酔が効きません。看護婦さんが量を増やしますが、それでも下半身の感覚はなくなりません。替わりに頭痛が強くなったので、ベテランの医師が様子を見に来ました。そして、なんと、その時点でカテーテルを入れ直すことになりました。これにはさすがに不安になりました。麻酔が赤ちゃんに流れ込んでいないか心配でしたが、これまでに注入した麻酔薬は、足に流れてしまうので問題ないとの説明でした。こうして無事に硬膜外麻酔が効き始め、いよいよ子宮口が全開になり、分娩室に入ることになりました。ほとんど痛みを感じないまま分娩室に入りました。

常位胎盤早期剥離で母子ともに危ないところだった

分娩室に入ったのはベテランの医師でした。いつものように夫も立ち会ってくれているので心強いです。夫と看護婦さんに励まされながら、赤ちゃんと呼吸を合わせていきんでいる時でした。パンという音がして水が飛び散りました。破水でした。必死で赤ちゃんを産みながら、あれ?まだ破水していなかったのかと思いました。陣痛が始まってから6時間20分後、身長42cm、体重2168gの小さな女の赤ちゃんが生まれました。その時の瞬間をよく覚えています。医師が看護婦さんに、「胎盤剥離していて、中に血腫ができていた。危ないところだった。」と話す声が聞こえたのでした。直後に看護婦さんから、「良かったですねぇ。無事に元気な赤ちゃんが生まれましたよ。」と声をかけてもらってホッとしたのを記憶しています。

低出生体重児で強黄疸

マルコは、小さかったので保育器で少し様子を見ることになりました。生後2日目で黄疸が出て、数日光線療法を受けました。そのため、マルコを病院に残して、私だけ先に退院しました。その後の検査の結果、健康上特に問題はないとのことで、生後12日目に退院となりました。退院時の体重は1862gとかなり小さく、可愛らしいお人形のようでした。この日から、とにかくマルコを大きくすることが私の目標になりました。