パニック障害のこと

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心のバランスが崩れてパニックになる

マルコが7歳の夏、私はパニック障害の診断を受けました。最初に息苦しくなったのは、まだマルコを妊娠する前のことでした。仕事のやりがいは感じでいたものの、毎日目が回るように忙しい日々でした。日常の業務、家事、育児に加え、転職してきた上司のフォローも加わり、体力的に限界だったと思います。そんな時、上司に小さなミスを指摘され、心のバランスが崩れました。今思えば、素直にミスを受け止めて次に生かせば良いだけの事ですが、『こんなに頑張っているのに』という思いから、なにもかも全部を否定されたように感じてしまいました。以降、人前で発言しようとすると大量に汗が出たり、頭に血がのぼって真っ赤になるようになりました。最初は緊張した時だけの症状かと思っていましたが、次第に、その症状は予期しない時、突然起きるようになりました。人と話している時、運転している時、急に空間が狭く息苦しく感じます。人前で赤面するのが恥ずかしくて、ごまかそうとすると、さらに苦しくなり、涙が出てくるような状態でした。

妊娠中のパニック障害

そんな中、マルコを授かり、環境は一変しました。妊娠初期のつわりがひどく、仕事も家事も無理がきかなくなりました。身体を一番に考えて生活するようになったと同時に、少しずつ症状は改善してきました。とは言え、まったく消えたわけではなく、保護者会でみんなの前で挨拶する時などは、いつ発作が起こるかと不安で仕方がありませんでした。ママ友と話している時や、個人面談でも突然症状が出ることがあり、ごまかすために急に携帯を見たり、バッグの中をゴソゴソしたり、かなり挙動不審だったと思います。

仕事を辞めて症状が改善

マルコが2歳になる時、仕事を辞めてからも症状が完全になくなることはありませんでしたが、精神的にも時間的にもゆとりができると共に、息苦しさは減り、突然の赤面も少しコントロールできるようになってきました。

仕事を辞めた理由はコチラ↓↓↓

メンタルクリニックでパニック障害と診断

生まれて初めて『メンタルクリニック』に行ったのは、発症から7年経って、再度息苦しさがひどくなったのを感じた時のことでした。当時は、専業主婦として家事と子育てに専念する日々でしたが、マルコに発達の遅れがあることがわかり、障害を受け容れ、理解しようともがく時期でもありました。また、夫が仕事でストレスを抱え、体調を崩したこともあり、夫婦関係はギスギスし、知らず知らずに私も心のバランスを崩していたのでした。

ある日、夫と些細な事でケンカをした私は、インターネットで調べた駅前の『メンタルクリニック』を訪れました。高齢でぬぼーっとした姿の医師は、ほとんど目を合わせることもなく、うなずきながら私の話をじっと聞いてくれました。そして、勢いよくしゃべる私をチラリと見て、時々面白そうに笑いました。私が必死で話終わってスッキリした時、『パニック障害ですね。お薬を出しましょう。不安な時だけ飲んでください。』と言って、診察は終わりました。その時出してもらった薬は、不安な時に飲むと、緊張感が完全に消えて、とてもリラックスできる魔法のような薬でした。この薬には随分助けてもらいました。なぜ7年間も我慢したのかと、自分がおかしくなりました。もし、この記事を読んでくださっている方の中に、同じ症状で悩んでいる方がいたら、是非早めの受診をお勧めします。副作用や依存が怖いという意見もあるようですが、まずは不快な症状を取り除いて、頑張り過ぎている自分を助けてあげて欲しいです。

パニック障害は完治するのか

パニック障害は完治するのかわかりませんが、少なくとも上手に付き合うことは可能だと思います。現在、私はまったく薬を飲んでいません。7年前に診断を受けて、1~2年間は頓服として薬を服用しましたが、段々と薬がなくとも症状が出なくなりました。辛いのを我慢するわけでもなく、飲まなくとも大丈夫と思えるようになりました。薬を飲んだ時の成功体験の積み重ねが自信につながったのだと思います。こうして、まったく症状が出ない日が5年以上続いています。その間、大変なこともありましたが、いざとなったら病院に行けば楽になるという安心感が支えてくれたせいか、薬に頼らず乗り越えました。

もうひとつ、私がパニック障害を乗り越えられたのは、マルコのお陰も大きいと思います。マルコを理解し受け容れたいと思う中で、自ずと自分自身と向き合う必要がありました。自分の価値観、偏見、コンプレックスと向き合い、自分自身を受け容れた時、素直な自分になれた気がしました。色々な悩みがある中で、最も心が傷つくのは、人間関係のズレなのではないかと思います。もし辛いときは、我慢せずに病院に行ってみてください。そして自分を楽にしてあげてから、ゆっくりズレを治せば大丈夫。きっとうまくいきます。