特別支援学校 高等部の『普通科』と『職能開発科』と『就業技術科』を学校見学した時の率直な感想を書きたいと思います。3~4年前の事なのでうろ覚えですが、マルコが就業技術科を選ぶにあたり、三つの学校を見学し、比較検討した結果、最終的な決断に至った経緯をお伝えする意味で、思い出しながら書きたいと思います。古い情報ですので、ここ数年で変更になっていることもあるかもしれません。レポートではなく、あくまで個人の感想として読んでいただけたら幸いです。
Contents
『普通科』を見学した感想
参加せずに座っているだけの生徒が気になった
参加せずに座っているだけの生徒が数名いて、少し気になりました。中学では、介助員の先生がサポートして一緒に活動に参加していたので、違いを感じました。
見学の日程は、在籍する中学毎に決まっていて、中学を通して申し込みをするという流れでした。当日は、最初に学校紹介のビデオを見た後、校内を案内してもらい、授業の様子を見学させてもらいました。地域に根差した学校運営が特長で、地域のお店と連携したリサイクル活動等を行っているとのことでした。また、部活動やクラス活動を通して近隣の学校との交流も活発に行っているそうで、開かれた学校という印象を持ちました。
都心にある学校で、新しくはありませんが、校舎は清潔で広々としていました。教室は貼り紙が多く、生徒は目で確認しながら行動しているようでした。中~重度の知的障害がある生徒が多く、美術の時間に作業せず机に座ったままのお子さんがいました。音楽の授業では、それぞれが思い思いに楽器を叩き、自由に歌っていて楽しそうでしたが、やはり参加せずに座っているだけのお子さんが数名いました。
『職能開発科』を見学した感想
教育の中で大切にしている『生活に役立つ4つの力』
教育の中で大切にしている『生活に役立つ4つの力』という話が胸に響きました。「あいさつの力」「一人通学の力」「そうじの力」「やくわりの力」の四つを軸に、本人、保護者、学校の共通の意識の下、基本的生活習慣を身につけるということは、自立に向けて大きく役立つと思いました。 特に、本人の「できる」力を生かして「ありがとう」「たすかった」と言われるような仕事(役割)を設定し、必要とされていることを実感できる経験を大切にするという点に深く共感しました。
この学校ならマルコは楽しく過ごせるかもしれないと思いました。1学年の人数は20名と少ないのですが、普通科と併設されていて、修学旅行等の学校行事は合同で行います。夏休み中で、生徒の様子が見られなかったのが残念でしたが、校長先生を始め先生方が、とても明るい笑顔で丁寧なのが印象的でした。学校紹介のビデオの中で見る生徒たちも明るく楽しそうでした。
見学に行った時は、ちょうど校内にレストランを作る工事をしているところでした。レストランは近隣にも開放し、食品コースで作った料理をランチで出して、接客も生徒が行うとのことでした。将来、カフェで働きたいと言っているマルコには最高の環境だと思いました。
都心にあり、最寄り駅からの通学路にはお店も多く、通学も楽しいだろうなぁと思います。ただ、家からの通学に1時間半位かかります。電車の乗り換えはないのですが、混雑する時間帯の満員電車を考えると、通学は大変そうです。
『就業技術科』を見学した感想
1年生『私を知る』、2年生『私が選ぶ』、3年生『私が決める』
1年生で自分を知り、2年生で自分で選び、3年生で自分で決めるというのは、素晴らしいカリキュラムだと思いました。就業技術科は、普通教科と職業に関する専門教科を2本の柱にしていて、就労を目指す学校ではありますが、社会生活に必要な幅広い知識を身に付けるため、普通教科にも力を入れているようです。
専門教科では、1年生から企業での就業体験を行い、3年間で個々の適性に応じた就労先を探します。コースは、ロジスティック、ビルクリーニング、食品、福祉、事務コースと5つに分かれていて、1年生の時には、すべてのコースを経験し、まずが自分はどのような仕事が合っているのかを知ります。
2年生は、流通・サイービス系列コース(ロジスティック、ビルクリーニング、事務)か家政・福祉系列コース(食品、福祉)のどちらかのコースで、より専門的に学びます。同時に現場実習を通してさらに深い学習と体験を重ね、3年生になるまでに、最終的なコースを選択します。
3年生は、就労に向けた現場実習を行い、卒業後の進路を決定します。
『就業技術科』を見学して、この学校が一番マルコに合っていると思いました。
就業技術科には、合計三回見学に行きました。最初は、マルコが中学1年生の時、私一人で学校見学に行きました。その時は、生徒たちがとても厳しく管理されているような印象を受けました。就業技術科に通う生徒は、外見では障害がわからない子どもも多いため、真面目な表情と行動を見て、まるで軍隊のように管理されていると感じてしまったのです。先輩ママたちから、厳しすぎて子どもが可哀想だという話を聞いていたので、先入観があったのかもしれません。
しかし、中学2年生の時、二回目にマルコと一緒に見学に行った時には、少し印象が変わりました。生徒たちは管理されているのではなく、授業中は社会人としてのふるまいを意識して行動しているのだとわかりました。休み時間の表情は明るく、生徒同士でワイワイと騒いでいる様子は、とても自然で楽しそうでした。
三回目は、中学3年の時、夫とマルコと三人で見学に行きました。マルコが心身ともに成長したこともあり、今回は就業技術科の生徒に混じって楽しく活動する姿を想像することができました。夫も同じ感想でした。マルコも、就業技術科の先輩たちの姿がとても輝いて見えたようで、「わたし、この学校に行きたい」と強い希望を持ちました。
学校選びのコツは、何度も足を運ぶこと
学校選びのコツは、何度も足を運ぶことだと思います。兄達の時もそうでしたが、文化祭や学校公開等、機会がある度に学校に行ってみました。入りたい部活動があれば、試合や発表を見に行ってみるのも良いと思います。実際に目で見てみて、肌で感じると、自分に合っているかどうかわかるみたいです。また、入学後のイメージを具体的に描くことで、受験に向けた勉強へのモチベーションにつながったように思います。コロナ禍で、なかなか難しい状況ではありますが、通学路を歩くだけでも充分効果はあるので、是非できる限り足を運んでみてください。
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