はじめて知的障害と診断された時

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発達専門の病院ってどんなところ

3歳になる頃、こども発達センターの面談で、マルコの発達に関して相談できる病院はありますかと聞かれました。発達の遅れに関することでは、特に受診したことがないと答えました。先生の口調から、専門医を受診した方が良いのかなと思いつつ、発達専門の病院とはどんなところなのか、どこに行けば良いのか、まったく知識がありません。近々、こども発達センターにも定期的に来ている小児発達クリニックの医師を紹介してもらえることになりました。

まちがえて大学病院の『成長発達外来』を受診

そんな時、二男の貧血検査で大学病院を訪れ、病院の案内に『小児科 成長発達外来』という科目を見つけました。『赤ちゃんから乳幼児期、学童期を経て思春期に至るまで、年齢に応じた正常な発育・発達をしているかを評価する。成長に心配があることがあったら受診してみませんか。』と書かれていました。これだ!と思った私は、すぐに予約を入れました。ところが、これは早とちりでした。成長発達外来とは、身体の発育が専門で、場合によってホルモン治療等を行うところでした。

MRIも脳波も異常なし。でも、一生普通には歩けないと言われた。

受診したかったのは、頭と身体、両方の発達を診てもらえる病院でしたが、低身長でもあったマルコは、とりあえず『成長発達外来』でMRIや脳波の検査を受けることになりました。検査の結果、脳に異常は見られないとの事でしたが、分娩時のトラブルなどで、MRIでは確認できないような小さな傷ができることがあるという説明を受けました。医師から『ここで療育はできない。障害児向けの療育ができる公立の病院を紹介する』と言われ、他の病院に移ることになりました。この時、医師から『おそらくよだれが出るのと、足首が固いのは小児麻痺の症状でしょう。一生、普通には歩けません。また知的障害も出るので、通常の子と一緒に学校に通ったりということは難しいでしょう。」と説明がありました。

知的障害という言葉にショックをうけた日

面と向かって障害という言葉を伝えられたのは初めてのことで、大きなショックを受けました。小児麻痺という病名も、よく知らないために怖い印象を持ちました。マルコを育てながら、頭で、マルコの成長・発達が遅れていることは理解していました。しかし、マルコなりに日々成長していることも実感できていたので、心の中では、いつかは同い年の子どもたちに追いつくものという希望を持っていました。医師の言葉で希望は打ち砕かれました。家まで車を運転して帰った記憶がありません。帰宅後も、なぜわたしが?なぜマルコが?と、涙があふれて止まりませんでした。

たとえ障害があるとしても、目の前のマルコがかわいいことは変わらない。

夜、夫に病院での医師の話を伝えました。話ながら涙が止まらず、出産した病院を責めたら良いのか、診断を下した医師が悪いのか、私の混乱はひどくなるばかりでした。夫は『たとえ障害があるとしても、目の前のマルコはなにも変わらないよ。マルコはかわいいよ。』と言いました。こんなにつらいのに、少しも共感してくれない夫に対しても怒りをおぼえました。眠れずに、一人で夜中まで泣いていまいした。ショックで、このままマルコと二人で死んでしまいたいとすら思いました。でも、夫の言うとおり、マルコはいつもと変わらずふっくらとしたほっぺで幸せそうにスヤスヤ眠っています。兄たちも、昼間存分に遊び、お日さまの匂いをさせてぐっすり眠っていました。死ぬことなんてできません。でもツライ。この状況に耐えられる自信はありませんでした。